2025年、オニツカタイガーはブランド単体の売上高を前年比約43パーセント増へと伸ばし、無印良品は中華圏市場の急回復にも牽引されて過去最高益を更新したとの報道がありました。両社に共通するのは、日本の成功体験をそのままアジア市場に「輸出」したのではなく、現地の文化に丁寧に「翻訳」し直したという点です。アジア市場の勝敗は、各市場への展開前である「戦略の設計段階」で決まっていると言えます。消費者心理・流通構造・規制も日本市場と大きく異なる以上、国内の方程式の持ち込みは「海図なき航海」に等しいのです。必要なのは下記の「5つの視点」でアジアの対象市場を読み解くことです。
まず1つ目は【現地文化に翻訳すること】です。アジアの中華圏では、信頼こそが購買の決め手となり、東南アジアでは価格と仲間内の評判が財布を動かします。技術の素晴らしさを語るだけでは、心は開かれません。現地の暮らしや祝祭・贈答の文化に物語を重ね、色彩からパッケージまで文化に合わせて磨き直す。ブランドは国境を越えるとき、「現地のもの」に生まれ変わらなければなりません。
次に2つ目は【規制に先回りすること】です。成分表示・衛生証明・原産地証明などの要件は国ごとに異なり、現地通関における一度の差し止めが、積み上げた信頼・売上を一瞬で毀損します。通関業者や法務の専門家と早期に手を組み、HSコード・ラベル・輸入許可のチェックリストを整備することが必要です。とりわけ中華圏は検疫基準の更新が頻繁であり、継続的な監視体制が必須となります。
3つ目は【決済と価格を現地習慣に合わせること】です。中国本土や香港・台湾ではモバイル決済が日常。また、多くの東南アジアの国々では銀行振込や代金引換が今も根強い傾向があります。ポップアップや百貨店での「体験」で信頼を育て、SNSやライブコマースでの「購入」へと導くオムニチャネル(リアル+オンライン)による展開で成功している日本企業も多く出てきています。
更に4つ目として【発信は「その土地の言葉」で行なうこと】が効果的です。中華圏なら現地SNSのKOLが世論を作り、東南アジアではFacebook・Instagram・TikTokの掛け合わせが力を持ちます。単なる自動翻訳では足りません! 言葉のニュアンス・笑い・価値観まで現地嗜好に合わせて作り直し、現地に精通した専門家により検証を重ねる。この「地道な積み重ね」こそが、拡散と定着を分ける分水嶺なのです。
最後に5つ目として【信頼できる「現地のパートナー企業」を獲得すること】があります。代理店契約・返品/保証の条件・在庫リスクの分担はすべて地道な交渉で決まります。契約書は現地法や商習慣に通じた専門家のアドバイスを必須とし、決済条件と知的財産の保護を明文化することが必要。また、良きパートナーは異国の地でブランドを守る「盾」であり、成長を加速する「矛」でもあると考える新たな発想が必要です。
上記のように【アジアで愛されるブランド構築】には5つのポイントが極めて重要になってきます。短絡的・刹那的に「大勝負」に出るのではなく、小さな仮説で試した実証データに基づいて表現・価格・流通を磨き上げていく! この忍耐強い歩みの先にこそ「アジアの人々に本当に愛されるブランド」が待っています。一緒に貴社ブランドをアジア市場に浸透させてみませんか?
